アレルギー反応2005.8.5

T型アレルギー反応    anaphylaxis type
 細胞表面のIgE抗体に、抗原が反応して、ヒスタミンなどが遊離される。即時型過敏症。
気管支喘息発作、じんましん、アナフィラキシーショックなど

U型アレルギー反応    cytotoxic or cytolytic type
 細胞表面の抗原に抗体が反応し、補体の作用が加わって、細胞に障害を与え破壊する。
血液型不適合、輸血反応、溶血性貧血など


V型アレルギー反応     Arthus型 、immune deposite type
 抗原・抗体・補体結合物が細胞破壊をもたらす。(抗原過剰の状態で、溶性の抗原抗体複合体が補体を伴い、血管内基底膜に沈降し、局所の炎症を引き起こす。)
慢性糸球体腎炎、SLE、血清病など

W型アレルギー反応    遅延型過敏症
 感作されたリンパ球と抗原とが反応し、リンパ球とマクロファージとの肉芽腫が形成される反応。
ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、結核、移植拒否現象。



           ミルクアレルギー                 

 あかちゃんの消化管機能はまだじゅうぶん完成していないため、ミルクのたんぱく質が未消化の状態で吸収されると、体質によってはこの抗原蛋白に対する、IgE抗体が産生されます。ミルクアレルギーのため、血便、下痢、嘔吐や、湿疹、喘鳴などの症状がでるあかちゃんには、ミルクアレルギー用のミルクが市販されています。
 

          遅延型ミルクアレルギー

http://www3.tokai.or.jp/atopy/atopy-n/framepage2-newdata.htm静岡県立こども病院感染免疫アレルギー科HPより転載させていただきました)

 食物アレルギーというと、じんましんやショックなど、即時型の激しい反応を連想される方が多いと思います。このような反応は、症状も派手ですが、食べ物に対するIgE抗体が陽性のことが多く、診断はさほど難しくありません。その意味で、よく見える食物アレルギーといえます。
 あまり知られていませんが、食物アレルギーの中には、出始めはゆっくりですが、一旦発症すると頑固に続き、体の発達を阻害してしまう型のものがあります。遅延型食物アレルギーです。即時型アレルギーにはIgE抗体が重要ですが、遅延型アレルギーはリンパ球が中心的な役割を果たしています。
 最も早く現れるのがミルクアレルギーで、生まれて初めてのミルクで症状が出ることもあります。普通は生後数週間で発症します。よく見られる症状は、下痢、嘔吐、血便であり、ミルクが入らないため体重が増えません。しばしば肝機能障害やCRP(炎症の指標となる物質)上昇を伴うため、肝炎や感染症を疑われて、長らく食物との関係に気づかれないこともあります。
 IgE抗体は、陰性か、ごく軽度の陽性のことが多く、あまり診断の役にたちません。アレルギーを思いつかなければ、外科的な疾患を疑い、胃腸の透視や造影など、大掛かりな検査が、反復して行われることになります。栄養が入らないために、中心静脈栄養という、高栄養溶液を、体の中心部の太い血管に注入する、負担の大きい処置が行われることもあります。患者さんや家族の負担が大きいのみならず、それに費やされる医療費も馬鹿になりません。 
 診断には、ミルクをとめると症状が改善すること、再開すると悪化することが手がかりになります。図に示すような、リンパ球増殖反応という遅延型アレルギー用の検査を行えば、たいてい診断がつきます。カゼインやラクトグロブリンは牛乳の主要な蛋白成分です。牛乳そのものを用いるより、生成した蛋白成分を用いる方が異常な反応をより明瞭に検出できます。 ただ、これらの検査は、検査会社に依頼してすぐできるものではないので、一般の医師には手に入りにくい情報なのです。その意味で、情報として見ることの困難な、見えない型のアレルギーということができます。

 治療にはMA-1やエレメンタル-フォーミュラなど、アレルギー治療用のミルクを用います。大豆乳が使用できることもありますが、大豆アレルギーが続発して、症状が再発することがあり、注意が必要です。

           牛乳アレルギー                  
 カゼインは牛乳蛋白の80%を占める。乳精蛋白質にはβーラクトグロブリンが含まれ、ともに主要な牛乳アレルゲンである。牛乳アレルギーの臨床症状は、下痢、嘔吐、腹痛、下血、アトピー性皮膚炎、鼻炎、喘息、蕁麻疹、アナフィラキシーショックなどが知られている。牛乳アレルギーは卵白に次いで発症頻度の高い食物アレルギーで、小児の2〜3%が1歳までに牛乳アレルギーを経験し、その約85%は3歳までに耐性を獲得するという。

                         治療
 臨床症状から、ミルクアレルギーが強く疑われるケースや、検査でIgE抗体カゼイン、ラクトグロブリン陽性が証明されたケース、リンパ球増殖反応陽性のケースは、ミルクアレルギー治療用ミルクが市販されています。



参考文献
目で見る免疫学、山之内製薬株式会社、昭和53年4月1日発刊
小児内科Vol.37,No5,2005-5 p677
http://www3.tokai.or.jp/atopy/atopy-n/framepage2-newdata.htm

日本小児科学会雑誌、107巻10号、1361〜1366(2003年):人工乳により誘発される乳児の消化器症状への遅延型牛乳牛乳アレルギーの関与

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