先天性水腎症2016.6.14
grade2以下は5歳ころまで半年(〜1年)ごとのエコー検査
無症候性ではgrade3は予防的抗菌剤、3〜4か月ごとのfollow  grade4及び症候性は泌尿器科へ紹介(手術考慮)
(家族への説明資料として作成)
文献からの引用整理

胎児性水腎症 http://www.nagoya2.jrc.or.jp/kidney-center/about_shounika/toriatsukai/pdf/nyouro-seisa_20140604.pdfより引用


尿路精査NCKiDs
注:grade2腎「杯」拡張はないのミスプリか?。
しかしちょっと腎杯拡張がありそうにもみえるので、このままでいいのかも。

腎超音波検査腎尿路の画像検査(文献2)より引用

たぶん以下の如くか。

grade0;腎盂確認されない
grade1;腎盂が確認されるあるいはすこし拡張している
grade2;腎盂がさらに拡張し1〜2個くらいの腎杯拡張もあり。
grade3;腎盂は腎からはみ出し拡張しすべての腎杯が大きく拡張している
grade4:さらに:腎実質が菲薄化

先天性水腎症US検査 水腎症、膀胱尿管逆流(文献3)より引用

Grade2以下の軽度水腎症ではそのほとんどが自然軽快する一方で、すべての腎杯が拡張したgrade3以上の水腎症では、手術適応を考慮に入れ通過障害ならびに分腎機能の評価が必要である(文献4)
 Grade1〜2水腎に対して理学的診察、尿検査、そして超音波検査のみで経過をみる。幼児期になれば超音波検査の頻度は斑年〜1年ごととする。いつまで検査を続けるかのエビデンスはない。4〜5歳で水腎の程度が軽度で変わらなければ、間欠性水腎症の危険性とその際の症状とを詳しく述べ、定期的な受診を中止してもよいと思われる。(文献4)

間欠性水腎症腹痛(嘔吐)発作時の超音波検査で間欠性水腎症と診断したケースは手術適応。

文献5画像よりhttp://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/116053/1/43_703.pdf

Case1
Symptoms:vomitting
Sex/Age:M/6mos
Side:L

Cause of obstruction:aberrant vessel

先天性水腎症(腎盂尿管移行部(PUJ)狭窄症)のなかには、その出現と消退を繰り返す間欠性水腎症があり、腎盂内圧上昇時には腹痛や吐気、嘔吐等の消化器症状が突然に出現し、そして自然消失する。(文献5)

間欠性水腎症5例の手術所見は2例がaberrant vessel,1例が索状物による圧迫、adventitia内での尿管の屈曲が1例、尿管ポリープが1例であった。aberrant vesselの2例はともに腎動脈の分岐がPUJ部を屈曲させ持ち上げていた。また索状物による圧迫は腎盂とPUJ部直下の尿管との間に索状物が存在し、それが水腎にわった時PUJ部を屈曲させていた(文献5)

考察で、解剖学的異常として、先天性のPUJ固有の狭窄、aberrant vesselによる外部からのPUJの圧迫、索状物による外部からのPUJの圧迫、腎位置異常、尿管ポリープ等様々な所見が報告されている(文献5)。と
文献6画像よりhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpn/20/2/20_2_117/_article/-char/ja/

間歇性水腎症
文献6の表からhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpn/20/2/20_2_117/_article/-char/ja/
文献7からhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol1989/87/10/87_10_1145/_pdf

間欠性水腎症23例の手術適応の決定:側腹部疝痛発作時の腎盂の拡張が超音波検査にて証明されたものを手術適応とし、17例(74%)に手術が行われた。

先天性水腎症文献3よりエッセンスを抜粋する。

1.原因
  腎盂尿管移行部に先天的な繊維性狭窄がある
  尿管の腎盂高位への付着がある
  異常血管による外的圧迫
  など
2男児、左側に多く、約10%は両側例
3新生児、乳児例では、高度の水腎症でも成長に伴い自然治癒も期待される
4.検査
  両側例では血清クレアチニン測定
  VUR,後部尿道弁、尿管瘤などが疑われる場合、排尿時膀胱尿道造影(VCUG)や膀胱鏡検査など
5.治療
  症候性水腎症;腎瘻増設、腎盂形成術、腎摘除
  無症候性水腎症;grade1,2では6カ月ごとのUS
           grade3,4は予防的抗菌療法、3,4か月ごとUS,レノグラム 拡張の憎悪、5%以上の分腎機能低下、breakthrough UTI併発、腹痛などの有症状は手術適応6東京都立小児医療センターの結果では、4.8年の経過観察で、grade1,2は殆どがgrade1以下に改善 grade3,4は、それぞれ68.8%,27,5%がgrade2以下に改善 それぞれ22.2%,65.0%が憎悪し手術 改善および憎悪した時期は、平均2歳前後であり、70%以上の症例が3歳未満であった。検査期間が6カ月以上あき憎悪の検出が遅れた場合は、術後の分腎機能が回復しないことがある。高度水腎症では3歳時ごろまで待機的治療を行って改善がなければ自然治癒の可能性は低く、手術適応について家族と相談することが好ましいと考えられる。     

先天性水腎症文献4より一部を抜粋する。

1発生頻度 胎児期に発見される水腎症の頻度は800〜1,500人に1人といわれ、その60〜80%がPUJOであるとされる。しかし、正常な胎児でも生理的に軽度な腎盂・尿管の拡張を示す。
2基本病態 PUJ通過障害の原因は、一般に内因性と外因性に分けられる。内因性の原因としては弁状構造や尿管ポリープも報告されているが、……。一方外因性としては繊維束による圧迫や尿管の屈曲、異常血管による圧迫などが、術中に観察されているが、内因性と外因性の原因が重なっていることも珍しくない。
PUJの形態(例;High insertion型を示すPUJO)によっては腎盂内圧上昇するに従い、PUJを通過する尿量も増加するという内因性通過障害の病態が説明される一方、腎盂内容量が増加すると、PUJの屈曲が生じ、尿の通過が悪くなるという外因性による通過障害の機序も説明されている。
3発見のきっかけ 胎児超音波検査、消化管症状を伴う「間欠性水腎症」、尿路感染、血尿・蛋白尿、腹部腫瘤、など

腎盂尿管移行部閉塞の種々のタイプ文献8より小児期水腎症の診断と治療  小児内科Vol27 No3参照

参考文献
1尿路精査NCKiDs http://www.nagoya2.jrc.or.jp/kidney-center/about_shounika/toriatsukai/pdf/nyouro-seisa_20140604.pdf
2腎尿路の画像検査 大友義之他、小児内科Vol44 No2 2012-2
3水腎症、膀胱尿管逆流 浅沼宏他、 慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室、小児内科 Vol.44 No2,2012-2 東京医学社
4水腎症 島田憲次他、小児内科40増刊号 2008
5泌尿紀要 43:703-706,1997間欠性水腎症の臨床的検討 大阪府立母子保健総合医療センター 泌尿器科(部長:島田憲次)松本成史他
  http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/116053/1/43_703.pdf
6日児腎誌 Vol20 No2間歇的腹痛を呈した水腎症の5例 芦田均他
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpn/20/2/20_2_117/_article/-char/ja/
7日泌尿会誌、87巻、10号、1996年間欠性水腎症の臨床的検討 都立清瀬小児病院泌尿器科 樋口彰宏他
      https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol1989/87/10/87_10_1145/_pdf
8小児期水腎症の診断と治療 寺島和光他、神奈川県立こども医療センター泌尿器科 小児内科Vol27 No3 1995-3 東京医学社
                                                        

                                                                     キッズ健康トラブルへ

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