手足口病2009.6.
学校保健法と手足口病
手足口病は学校保健安全法での第三種疾患グループ中の「その他の伝染病」に該当する。病名の明らかな第三種疾患の出席停止期間については「病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めるまで」となっているが、文部科学省の資料をinternet検索したところ、以下の資料を見つけた。(出典はCLARINET) これによると、手足口病の出席停止期間については第三種疾患の出席停止期間とは別にされているのがわかる。(詳細は後述の表に記載)
下表はCLARINETからコピペタ
第三種 | 学校において流行を広げる可能性がある伝染病 | 腸管出血性大腸菌感染症 流行性角結膜炎 急性出血性結膜炎 |
伝染の恐れがないと、医師が認めるまで |
---|---|---|---|
その他の伝染病 | (後述) |
5日ほどの発疹期のみ、出席停止にしても、他児への感染予防効果は期待できない
発熱があったり、口内痛のため摂食不良がある間は登校(登園)は難しいだろう。
この間は出席停止が望まれる。
患者の便から一ヶ月ほどはウイルスが検出される。便口感染の感染源となることも否定できないので、下着の処理や、手洗いの励行にも留意する必要があるだろう。
学校現場の実情、幼稚園、保育所の実態により、医師の判断と合致しないことも多いと推察され、おかあさんたちも困惑することがたびたびある。主治医と学校、保育所との連携がうまくないと毎年流行期になると、出席停止期間について混乱がみられるようである。
わたしは「風邪の仲間だから、保育所に聞いてください。保育所で来てもいいといったら、OKですよ」と話している。
皮疹は1~5mm以下の扁平な楕円形の小水疱疹で掌、足裏に。数mmの紅暈を伴う。米粒大の紅色丘疹は手背、足背に分布する。乳児では、臀部にも出現。痒み無し。水疱内容は無色透明で、数日内に飴色となり吸収され、水痘にみられる痂皮形成は無い。
粘膜疹は口腔内のどの部位にも出現しうるが、頬粘膜、舌、口狭部に好発する。2~3mmの小アフタを数個形成することが多く、有痛性で拒食の原因となることもある。(今日の小児治療指針第11版より一部抜粋し改変)
出席停止について | ||
---|---|---|
文部科学省 海外子女教育、帰国・外国人児童生徒教育等(CLARINET) CLARINETへようこそ
|
10.2.学校における伝染病 10.2.1.学校伝染病の種類 10.2.2.出席停止の期間の基準 10.2.3.その他の伝染病の考え方 手足口病・ヘルパンギーナ、伝染性紅斑(りんご病)、溶連菌感染症、ウイルス性肝炎、マイコプラズマ感染症などがあります。 表10−2 その他の代表的な疾患への対応の目安 手足口病 感染性のある期間 咽頭は発病後1〜2週、便は発病後3〜5週 回復後も長期にわたって便中にウイルスが排泄されるが、不顕性感染も多く、学校内での感染力はそれほど強いものではない。本人の状態によって登校を判断する。 (岡部信彦 「学校における感染症対策」平成15年度学校保健の動向) |
出席停止について | 症状 | 原因ウイルス | 感染経路 | 免疫 | 合併症 | 治療 | 注意 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
学校保健安全法施行規則(昭和三十三年六月十三日文部省令第十八号) 最終改正:平成二一年三月三一日文部科学省令第一〇号 | 第三種の感染症にかかった者については、病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めるまで 管理人注釈:なお、手足口病は第三種感染症の種類の病名のなかに無く、第三種「その他の感染症」に含まれていると考える。(上の基準は手足口病には対応していない。) |
|||||||
今日の小児治療指針14版より抜粋 2006.5.15 |
条件によっては出席停止の措置が必要 (学校保健法第三種) 急性期を過ぎ全身状態改善すれば登校可 (平成17年2005.3.3最終改正)。 発疹が消失し全身状態が改善すれば 登校可能としてよい。 |
コクサッキーウイルスA16 エンテロウイルス71など |
無菌性髄膜炎 脳炎などの中枢神経系合併症 |
解熱剤、輸液 | ||||
今日の小児治療指針13版より抜粋 2003.3.25 |
記載無し | コクサッキーウイルスA16 エンテロウイルス71 コクサッキーウイルスA10 |
経口感染 飛沫感染 |
終生免疫 | 脳炎脳症 新生児にE71合併すると 重症化することあり |
数日から一週間で自然治癒 脱水例は点滴 |
高熱の持続 嘔吐、頭痛、意識障害 新生児のいる家庭 |
|
今日の小児治療指針12版より抜粋 2000.3.25 |
全身状態が安定したものは登校可 回復後も3〜4週間は糞便中に ウイルス排泄されることあるも、患者本人の状態によって判断する |
口腔粘膜、四肢末端に水疱性発疹。 発疹が手足全体、肘、膝、臀部に多数出ることあり。 |
コクサッキーウイルスA16 エンテロウイルス71 コクサッキーウイルスA10など |
無菌性髄膜炎 急性脳炎、脳症 |
殆んどは治療の必要ない ペリアクチン0.5cc/Kg食欲増進 |
高熱 持続する発熱 頭痛、嘔吐、意識障害 |
||
今日の小児治療指針11版より抜粋 1997.2.1 |
平成5年1993年小児科学会見解 不顕性感染も多く、ウイルスは咽頭から1~2週間、便からは3~5週間排泄されることから、本症の発疹期にある患児でも、他への感染のみを理由にして登校(登園)を停止する積極的意味は無い。 学校伝染病出席停止期間の基準では 第3類:治癒するまで。ただし、医師より予防処置をした時、または病状により伝染のおそれがないと認めた時は可 |
1/3以下以下の例に38度台の発熱を1〜2日認める。CA10は有熱者が倍。 | コクサッキーウイルスA16 エンテロウイルス71が多い。 コクサッキーウイルスA4,5,6,10型 |
高熱にアセトアミノフェイン座薬5~10mg/Kg挿入 口内痛で経口接種不良にデキサメタゾン(デキサルチン)軟膏 熱いもの、酸味のもの、醤油味は避け、ミルクセーキ、牛乳などしみないものを与える。 入浴禁、シャワー可。 |
||||
今日の小児治療指針10版より抜粋 1993.11.1 |
学校保健法:第3類;治癒するまで。ただし、、医師より予防処置をした時、または病状により伝染のおそれがないと認めた時はこの限りでない ウイルス排泄期間は咽頭で1~2週間、糞便で3~5週間といわれる。コクサッキーウイルスA16型、10型、 エンテロウイルス71型などによる運便中のウイルス排泄期間が長く、潜伏期患者や不顕性感染者からのウイルス排泄もあるので隔離の意義は少ない。 「かぜ」の仲間として、学校伝染病の取り扱いをする必要はないと考えられる。米国小児科学会でも出席停止としないように勧告している。 |
潜伏期3〜7日 発熱当日〜翌日に発疹が出現 |
飛沫、経口感染をする | CA-16で中耳炎 エンテロ71で無菌性髄膜炎 |
軽症例が多く。自然治癒する例も少なくない。 原則として経過観察のみでよい 高熱あるいは口内痛で不機嫌なときはカロナール10mg/Kgを頓用、座剤 |
プールは3~5週間禁止し、特に幼稚園、保育園のビニールプールでの水遊びを禁じる。手足に水疱のある間は鉄棒なども禁止。 |
定点把握の対象(五類感染症)