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RSウイルス感染症2006.2.  (2011.10追加記載)

シナジスは抗RSウイルスヒト化モノクロナール抗体です
 在胎28週以下で生まれた赤ちゃん
 在胎29週〜35週で生まれた6ヶ月以下の赤ちゃん
 気管支肺異形成症の治療を受けた2歳までの乳幼児
  に、RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制のため、毎月投与されます。

  24ヶ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患児にたいし、平成17年10月から重症のCHD児に適応拡大された(文献8)

RSVテストパック      RSウイルス抗原検査    
RSウイルスの迅速抗原検出キットで、20分あまりで結果が得られます。
入院患者のみが健康保険で認められているため、外来での検査は困難。
インフルエンザ迅速診断がほぼ全例で検査されている現状を考えても、なぜにこれまで抑制するのか不思議。小児科医の団体はもっと検査拡大(外来での保険検査の許可)をはたらきかけて欲しい。


(2011.10追加記載):RSV感染患者の急増と重症例の報告がマスコミでずいぶん報道されるようになった矢先、ようやく1歳未満児は外来でのRSV検査が保険適応となった。いずれ患者負担は無いのだが、これまでは保険がきかないばあい、費用は病院(医院)持ちであったのが解消されたわけで、検査がしやすくなった点、外来診療がやりやすくなった。データの集積は小児科医の報告に基づいたとしても、マスコミの力が大きかったという印象だ。

2011.10.17診療報酬算定方法の一部改正あり、RSウイルス抗原検査が、乳児にも適用拡大された。(平成22年3月5日付け保医発0305第1号にも乳児適用の文言あるが…)

冬から春先にかけてはRSウイルスのシーズンです
竹内可尚先生によると、
 RSウイルスはかぜ症状の乳幼児から通年性に検出できる。
 冬の風邪ウイルスの中心となる
 流行のピークは12月
 3歳未満、12月〜40%以上がRSウイルス感染症

風邪症状で軽快する軽症例から肺炎、細気管支炎を発症する重症例まであります
2歳未満は細気管支炎発症に要注意。
前述の低出生体重児や、先天性心疾患をもつ乳児は特に重症化しやすい。

      


乳児の風邪症状に続発する呼気性喘鳴はRSウイルスによる細気管支炎を考えます
竹内可尚先生によると、乳児の正常な呼吸数は40/分以内であるが、RSウイルス感染が下気道に波及すると、咳は次第に湿性となり喘鳴が聞かれるようになる。睡眠中の乳児の胸郭の上下動をみながら1分間の呼吸数を数え、それが50を超え、60に近づいてきたばあい、また呼吸をサボるようなエピソードが認められた場合、夜中でも小児科の入院施設のあるところへ救急受診する。
呼吸数が60になるとゼーゼー、ヒューヒューが混じった息を詰めた呼吸になり、鼻や口唇にチアノーゼが認められることもある。この呼吸困難状態は細気管支炎を起こしている証拠である。

その他のメモ事項
RSウイルス;respiratory syncytial virus(RSV)
1歳までに70%、2歳までに100%がその感染を受ける
母体からの移行抗体はRSウイルス感染をブロックできず、新生児期を含めた乳児期早期に容易に感染を成立させるという。
生後1ヶ月未満の新生児は症状としての無呼吸に要注意
夜間睡眠中、頑固な無呼吸を呈したばあい、死の危険あり
生後2〜3ヶ月未満の乳児が、頑固な無呼吸によるチアノーゼを呈した場合、RSウイルス感染の可能性も考える
接触感染、飛沫感染

院内感染防止対策

RSウイルス感染により、乳児で重症化する例があることを記載したが、RSウイルスは一生の間再感染を繰り返す。日本は高齢化社会であり、免疫力の低下する高齢者は重症化の危険あり、特に老人施設などでの流行には充分の注意が必要です。

急性細気管支炎
 乳児で冬季を中心に1歳未満の乳児に下気道の広範な狭窄を引き起こし、喘鳴、多呼吸、胸郭陥没など呼吸困難を引き起こす。X線は過膨張、間質性陰影、無気肺などみられる。(今日の小児治療指針12版から)
 急性細気管支炎は、2歳以下の乳幼児でしばしば認められる下気道感染症で、冬季に流行することが多い。RSウイルス感染が大部分を占める。数日の感冒症状後に喘鳴や多呼吸が出現し、3ヶ月未満の児では無呼吸発作を伴うこともある。6ヶ月未満の乳児や、早産児、心疾患の基礎疾患を持つ児は重症化しやすい。(今日の小児治療指針13版から)


<治療>;(入院、酸素飽和度モニター)
輸液
酸素テント
気管支拡張剤吸入、内服(β刺激薬は無効との報告もある);わたしは喘息に準じて使用している
アミノフィリン持続点滴(6ヶ月未満児には充分検討して)
セフェム系抗生剤
ステロイド剤;サクシゾン、デカドロン、水溶性プレドニンいずれか選択(無効との報告もある);重症例にわたしは喘息に準じて使用している

呼吸不全の重症例では人工換気が必要となる


<鑑別診断>
 乳児喘息
 喘息性(様)気管支炎

参考文献
1)シナジス筋注用50mg 100mg 2002年9月 添付文書
2)第105回日本小児科学会学術集会ランチョンセミナー「RSウイルス感染症とシナジスの臨床成績」
3)日本臨床 60巻3号(2002-3);Palivizumab(抗RSウイルスヒト型化モノクロナール抗体)
4)小児におけるRSウイルス感染症の疫学、ラジオたんぱ「ダイナボット感染症アワー」2000年11月17日
 川崎市立川崎病院院長 竹内可尚先生
5)RSウイルス感染症;小児内科 Vol.34 臨時増刊 2002
6)今日の小児治療指針12版 急性細気管支炎、医学書院、2000年3月25日
7)今日の小児治療指針13版 急性細気管支炎、医学書院、2003年3月25日
8)小児の呼吸器ウイルス感染症の話題、日本医事新報、No4262,2005.12.31
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