憤怒けいれん(泣き入りひきつけ)2006.2.

泣き入りひきつけ、小児科診療、47巻、4号、昭和59年、p543-p545より引用させていただきました


 泣き入りひきつけ(憤怒痙攣)は乳幼児期に発症し、就学前には消失する予後良好な疾患とされる。痛み刺激や、怒りなどが契機となって、号泣、呼気状態で呼吸を止め、その結果口唇のチアノーゼ、意識消失、筋の弛緩状態をきたす。長引くと引き続いて全身の硬直状態あるいは硬直間代痙攣にいたる。

T 分類
Livingstoneによる
単純型:痛み、不満などのあと号泣し、息を止める。持続時間は短く、チアノーゼを伴なわない場合もある。
重症型:息を止めた後チアノーゼを伴ない、四肢の硬直、意識消失をきたし、多くの例で間代性の運動を伴なう。

Lombrosoらの分類
チアノーゼ型
蒼白型

U 臨床像
発症年齢;新生児期から3歳頃までにわたってみられる。生後6ヶ月〜1歳6ヶ月が大半を占める。発作頻度は生後1〜2年が最も多い。持続時間は1分以内が圧倒的に多い。

V 脳波
発作時脳波は高振幅徐波を認め、硬直状態に至ると脳波の平坦化をきたすことが多い。発作間歇期脳波では異常を認めない。

W 発生機構
脳循環血流量の低下、脳組織の低酸素症に由来するとされている。

X 鑑別診断
大発作型てんかんとの鑑別が重要である。
無熱性痙攣を主訴に来院したばあい、号泣に続いて発症したか、恐怖、痛み、不快などの誘因となるものがないかどうかについて、親からよく聴取する必要がある。

Y 予後
良好で6〜7歳までには消失する。てんかんに移行することはないが、失神発作に移行する例がある。

Z 治療
両親へのカウンセリングが大切。

薬物療法は必要ないとされるが、Lombrosoらは蒼白型ではatropinが有効と述べている。

両親の不安が強い場合はphenobarbital短期使用も一方法。


参考文献
泣き入りひきつけ、小児科診療、47巻、4号、昭和59年、診断と治療社、p543-p545より引用
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