熱性けいれん
2005年3月

 はじめてのけいれん(ひきつけ)はおかあさんをびっくりさせ、あわてさせると思います。救急車を要請することもあるでしょう。ふつうの熱性けいれんは、1−2分ほどでおさまります。体温が上昇する途中でけいれんがおこるので、あとで発熱に気付くことになります。熱性けいれんのほとんどが小学校にはいる6歳になるとおこさなくなります。1歳前後に初発した熱性けいれんは5−6歳までに5−6回おこしても普通の頻度であるといわれています。発熱のたびに、頻回にひきつけるばあいは、予防投薬が必要になります。上の子がけいれんをおこした経験のあるおかあさんならいいのですが、そうでないときは初回はあわてますが、2回目からは落ち着いてけいれんの状態を観察し、状況を医師に告げるようにしましょう。
 けいれんのさいちゅうは呼吸が苦しくゼコゼコし、顔色悪く、唇が紫になることがあります。衣服がきついときはゆるめてあげて、楽に呼吸ができるようにしてあげてください。けしてけいれんをおさえようと、強く抱きしめたり、おなかをおしたりしてはいけません。呼吸がいっそう苦しくなり危険です。大きな声で名前を呼びかけたり、ゆすったりしないでください。吐くことがありますので、からだは横向け、顔だけでも横向けにすると、万一吐いたとき、気管への誤嚥が防げます。口のなかのものを取ろうとしたり、口を開けさせようと、割り箸などものを口のなかに入れたりしてはいけません。口や鼻から吹き出たものをぬぐってふいてとってやりましょう。からだを下向き加減にしてやると吐物が自然に下に落ちるようになるので、それをふきとりましょう。
 ふつうの熱性けいれんは、ほとんどのばあい、1−2分ほどでおさまります。長くても5−10分くらいで、15−20分以上続くばあいは複合型といわれます。上肢は左右対称的に屈曲して筋肉が硬くなったり、ビクビクさせます。両下肢も対称的にビクビク、ビクンビクンとけいれんします。眼球は上転し白目になっていたり、右か左を凝視したり、ピクピクけいれんしていたりします。口からよだれがながれてきたりします。けいれんが左右対称でなく、一側だけのときとか、体の一部分の筋肉のみのけいれんのときは複合型といわれます。けいれんのおさまったあとに、一過性の筋麻痺のおこることがあります(トッドの麻痺)が、複合型です。一日のうちに2回以上繰り返すけいれんは複合型です。複合型のばあいは、いっそうけいれん予防対策が必要です。

 複合型でないふつうの熱性けいれんであれば、1回から2回おこしても、特にけいれん予防のヂアゼパム坐剤(ダイアップ坐剤)を使わず様子見します。しかし3回以上繰り返すときは、再発予防をすることが多いようです。また、家族でけいれんの既往者がいて、本人が2回熱性けいれんをおこしたばあいも予防投薬の対象にされます。
 ダイアップ坐剤の使用例(大体の変動を示したグラフであって、
                        正確なグラフではありません)

 

けいれんして発熱のみられるとき、以下の疾患に合併している可能性を考えます
1.熱性けいれん  (これが圧倒的に多い)
2.中枢神経感染症   脳脊髄膜炎  種々のウイルス感染
                         細菌感染
                脳炎  単純ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、
                     日本脳炎ウイルスなど
3.ノロウイルス(小型球状ウイルス)感染に伴うけいれん頻発
3.ライ症候群
4.ライ症候群以外の脳症 インフルエンザ脳症
                  突発性発疹のウイルス(ヒトヘルペスウイルスタイプ6,7)による脳症
                  予防接種後脳症
                  その他の脳症
5.熱誘発型のてんかん発作
6.悪性腫瘍など :白血病、脳腫瘍
7.溶血性尿毒症症候群
8.川崎病
9.その他疾患
これら疾患にはそれぞれ特有の症状を伴いますので、そういった症状を参考に鑑別されていきます。

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