食物アレルギー2008.7.~2009.9

最近の食物アレルギーの症例

5y9m female 2008.7.23朝食は7時に食パン、ココア、牛乳、チーズ、タマゴヤキを食べた。8時半に保育園に登園す。10時に腹痛38度の発熱あり、昼に当科受診した。38.5度 後頸~肩、背部、前胸部、腹部等に蕁麻疹あり。血圧96/54mmHg


 

ソリタT1 200cc アタラックスP20mg デカドロン2mg ソリタT1 200cc ソリタT3 200ccで症状軽快し帰宅。翌日元気。
尿ケトン+++ GOT39, GPT16, WBC8800 Eo 0% , CRP 0.727mg/dl,
IgE RIST 288 IU/ml, MAST26種;ダニ2 class(1) 10.4, 他 class(0) 註;卵白 0.51 class(0)
IgE RAST 卵黄 class1 0.36, オボムコイド class3 4.32、カカオ、カボチャ、イクラは0.34以下class0であった。
IgE RAST卵白を追加→class3 5.80
診断:タマゴアレルギー しばらくタマゴは控える


3y2m male ふだん蕎麦はあまり好まない子とのこと。2008.7.13.日本ソバを食べた直後かお、背中に蕁麻疹が現れ、当院救急外来を受診した。テルギンGの内服処方をうけ、薬を飲んだが吐いた。お昼寝のあとじんましんは消失していた。
翌日当科受診。皮膚はatopic sclatched dry skinのみ。2008.7.7ヒルドイドローションが処方されていた。アタラックスPの内服処方す。CBC, IgE Rist MAST, RASTソバ検査す。既往歴に腸重積と湿疹
診断 ソバアレルギー  ソバは避けておく
IgE 129 IU/mL, 特異的IgE ソバ class3 7.32UA/ml
MAST26種;ネコclass2, 14.5, スギclass1/0 3.74,
なお、普段十五穀米(そば米を含む)を食べていたがなんとも無かったと(7/31外来での情報)

0y9m female 外食した際にラーメンに入っていたゆで卵の白味とソバを食べさせたら、1時間もしない間に顔のむくみ体にじんましん出現した。他医で卵白ではないといわれた。1y0m時当科受診。2007.1.10. IgE 40.4(基準値30以下)
卵白class2 特異的IgE抗体価 2.92 IU/mL (基準値 0.34以下)
卵黄class0 特異的IgE抗体価0.34以下
オボムコイドclass2 特異的IgE抗体価 1.88
診断 卵白アレルギー   しばらく卵白は控える

0y8m female 2007.12.10朝食摂取後顔が赤くなって、機嫌が悪かった。離乳食は全卵をおかゆにまぜて、生に火をとおした。タマゴは2回目。ニンジン、ベビーフードのホワイトソース
特異的IgE 牛乳 Class2 0.74, 卵白 Class3 5.35, タラClass0, ニンジンClass0, 卵黄Class0, オボムコイドClass1 0.48
診断:卵白アレルギー、牛乳アレルギー
同じケース
1y1m female 2008.4.30夕食にしらす、ほうれんそう、豆腐を卵黄でとじて食べた。そのとき、顔に発疹あり、その後体に発疹でた。翌日2008.5.1、当科受診。全身に細かい発疹がみられたが、ヒルドイドソフト、ロコイドクリームが処方された。発疹は2~3日増強したあと消えた。2008.5.10受診時、発疹の前数日発熱あったとのことで、突発性発疹のウイルス抗体価を測定した。
2008.5.10 ヒトヘルペスウイルス6型IgM(FA) 10未満
                  IgG(FA) 320
      ヒトヘルペスウイルス7型IgM(FA) 10
                  IgG(FA) 10未満
2008.5.1 IgE 41.4 (基準値30以下)
牛乳class0, 卵白class1, 大豆class0, 卵黄class0, α-ラクトアルブミンclass0, β-ラクトグロブリンclass0, カゼインclass0, イワシclass0, ホウレンソウclass0, オボムコイドclass1特異的IgE抗体価0.48(基準値0.34以下)
診断:卵白アレルギー


1y5m female 2008.3.3夜にちらし寿司のイクラをはじめて食べた。その後口唇が腫れて、顔蒼くなって一回吐いた。顔と全身に発疹あり、呼吸困難。30分後に落ち着いた。鼻水あり、咳あり。翌日当科受診す。家族でアレルギーの人はいない。左膝窩部に湿疹あり、ヒルドイドソフトとロコイドクリーム処方。
IgE 15.8 IU/ml  MAST26種 陰性 オボムコイドclass0, ソバ class0,  イクラ class2 特異的IgE抗体価 0.83
診断:イクラアレルギー、 イクラは食べないように。

1y0m male H15.5.21クルミのとうふあえを食べたら、うっとうなって白目出して、蒼くなってぐったりした。車で1回吐いた。全身のじんましんあり。今回2回目。前回ヨーグルトであったとのこと。血圧88/64mmHg ソリタT1 200cc+サクシゾン50mg+アタラックスP10mg点滴。強力ネオミノファーゲンC 1/4A静脈内注射。うけたが蕁麻疹引けておらず、一泊入院した。血圧82/50mmHg デカドロン1mgを8時間ごと使用し、翌朝には蕁麻疹は軽快した。
診断:クルミによるアナフィラキシーの疑い。結果出るまで、大豆、ヨーグルト、クルミは与えないこと。
IgE 50 (小児基準値30以下)
      ダイズ class 1 0.59
      ギュウニュウ class 0 (ヨーグルトは牛乳で提出した)
      当時クルミRASTの検査項目無しで未検査


0y6~7m male H18.4.中旬(生後6~7ヶ月)タマゴボーロ(市販の丸いお菓子)を食べて顔に発疹でた。翌日には消失。以来タマゴは食べさせていない。H18.5.18(生後7ヶ月)検査希望で当科を受診した。
IgE 32.3 IU/mL 卵白 class3, 特異的IgE抗体価 4.16 UA/ml,
           卵黄 class0,特異的IgE抗体価 0.34以下
      オボムコイド class3,特異的IgE抗体価 7.53
診断:卵白アレルギー、 卵白は避ける。
同じ子
H20.2.6(2歳4ヶ月)たまご食べてなんともない。経過観察のための採血。
IgE 155 IU/mL (基準値30以下)
          卵黄 class 0,
          ヤマイモ class3 特異的IgE抗体価 5.17 UA/mL
          オボムコイド class 0,
          イクラ cloass0,
          タラコ class0
          ソバ class0
MAST26種 コナダニ class 3
        卵白 0.66 class0
        鶏肉 0.28 class0
診断:ヤマイモとダニアレルギー、  卵白アレルギーは軽快中



食物アレルギーとは(文献1)
 食物の摂取によりアレルギー症状が出現する場合を食物アレルギー(食品過敏症)といいます。

定義参考文献2、5、11
原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が惹起される現象

食物アレルギーの発生機序文献4

アレルギーはその症状・機構によってI~IV型の4つの型に分類できますが、せまい意味での「アレルギー」という場合、多くはI 型のアレルギー反応を指します。I 型アレルギーというのは即時型で、抗原が作用して15分~12時間ぐらいの短時間で反応が起きてしまうアレルギーです。

食物アレルギーは、このI 型アレルギーにあたる反応で、初めの抗原(アレルゲン)の侵入によって多量に作り出されたIgE抗体が、再度のアレルゲン侵入時に反応し、その結果マスト細胞から化学伝達物質が放出されることで発症します。このように、食物アレルギーは、事前に産生されたアレルゲンに反応するIgE抗体が、アレルゲンと抗原抗体反応を生じることで起こります。

なお、IgEが検出されず、IgEが関与しない病態も存在する(文献6)

食物アレルギーの原因となる食品とアレルギー症状(文献3よりコピペタ)

アレルギー反応により口唇、口腔粘膜の接触皮膚炎様の症状から気管支喘息、蕁麻疹、胃腸障害を引き起こすものまで様々な食物アレルギー症状が見られる。時には血圧低下、顔面蒼白、呼吸困難、意識混濁など生命にかかわる急激な全身のアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こす場合もある。卵、牛乳、大豆が食物アレルギーの3大原因物質と言われているが、小麦、米を含めて五大食物アレルゲンと呼ばれる。その他ソバや、蟹、海老、タコ、イカ等の魚介類、キュウイフルーツ、バナナ、柑橘類などの果物、ピーナツ、アーモンドなどのナッツ類などが食物アレルギーを起こす。赤ちゃんや小児と成人では原因となる食品に違いがあり、小児では卵、牛乳、乳製品、小麦、甲殻類、魚介類が多く、成人では卵、牛乳が少なく、甲殻類、魚介類、果実が多い傾向がある。また卵や牛乳の成分から作られている薬剤もアレルギーを起こしやすい。食物アレルギーは乳幼時期に多く、加齢とともに原因食物を摂取しても症状がなくなる事が多い。米、小麦、大豆は比較的早く三歳までに耐性が獲得されるという結果もある。卵、牛乳はもう少し遅れるので、小学校低学年までは卵、牛乳が重要な食物アレルゲンとなる。そして九歳頃には約8割の人が耐性を獲得し症状が軽快する。なお、耐性獲得は食物の種類によっても異なり、ナッツ類魚介類は耐性を獲得しにくいといわれ、成人ではナッツ類、魚介類、果物によるアレルギーが多く、特にソバは重篤なアナフィラキシー症状を起こすので注意が必要である

文献7によると、赤ちゃんのばあい、原因となる食物は、鶏卵、牛乳、小麦が3大アレルゲンといわれる。
加熱や発酵でアレルギー反応が出にくくなる
そば、ピーナッツ、えびやかになどの甲殻類は、大人になっても症状が出やすい。

食物アレルギーの原因は“タンパク質” 文献3

アレルギー反応は、“抗原”(アレルゲン)と呼ばれるアレルギーのもとになるものを摂取することで起こります。
抗原が体の中に入ると“抗体”ができ、そこへ再び抗原となるものを摂取すると、抗原と抗体が結びつき、アレルギー反応が起こります。
抗原となりやすい食物成分はタンパク質。タンパク質ですべての人がアレルギーを起こすわけではなく、起こしやすい人と、そうでない人がいます。
アレルギーになりやすい体質は遺伝するといわれています。

文献10によると、摂取した食物抗原、特に蛋白質は胃の中でペプシンによる消化を受け、ついで膵臓から分泌されるトリプシンによって消化される。乳児期はこれらの消化酵素の分泌能は微弱であるため、未消化の高分子蛋白が消化管粘膜に多く取り残される状態となる。これらの食物抗原に対しては、生体防衛機構の一つとして、分泌型IgAによる局所免疫能が働き、抗原を中和し、不活性化するのであるが、乳児期には分泌型IgAの局在が少ないため、きわめて不十分である。
 さらに、生後数ヶ月の間、消化管の粘膜が未成熟であるため、高分子の抗原物質が容易に消化管の粘膜を通過し、血中に入る。この高分子の抗原が食細胞に取り込まれても、細胞内のライソゾームの機能も未熟なため、消化されにくい。
 乳児期、とりわけ乳児期前期には、このような要因により、食物抗原が抗原抗体反応の場に取り入れられ、アレルゲンとしてアレルギー反応を起こすきっかけとなる。

食物アレルギーにより引き起こされる症状(文献5)
皮膚粘膜症状:皮膚;痒み、じんましん、血管運動性浮腫、発赤、湿疹
          眼:結膜充血、浮腫、痒み、流涙、頑健浮腫
          口腔症状:口腔・口唇・舌の違和感・腫脹
          咽喉頭症状:喉頭絞扼感、喉頭浮腫、嗄れ声。喉の痒み・イガイガ
消火器症状:腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、血便
呼吸器症状:上気道;くしゃみ、鼻汁、鼻づまり
         下気道;呼吸困難、咳、喘鳴
全身性症状:アナフィラキシー;多臓器の症状
         アナフィラキシーショック;頻脈、虚脱(ぐったり)、意識障害、血圧低下


アナフィラキシーとアナフィラキシーショック
アナフィラキシーとは食物、薬物、ハチ毒などが原因で起こる、即時型アレルギー反応のひとつの総称。
皮膚、呼吸器、消化器など多臓器に症状があらわれる。

ときに血圧低下などのショック症状を引き起こす。こうした生命をおびやかす危険な状態をアナフィラキシーショックと呼ぶ。


食物依存性運動誘発アナフィラキシー 文献15
食物摂取後4時間以内に運動を行うことにより、蕁麻疹からアナフィラキシーまでの症状が生じる。
小麦、エビ、カニ、果物などが関与する症例報告が多い。



治療についての追加 文献7、8


文献7によると、因果関係がはっきりしないものは除去しない。除去する品目は最低限に抑える。漫然と長期間除去しない。除去するときは栄養バランスがくずれないように、代替食品を活用する。除去食療法を辞めるタイミングは、加熱した食品を少量づつ与えてみながら(経口負荷試験を行うこともあり)。


文献8によると、症状が蕁麻疹など主にヒスタミンによる場合には、抗ヒスタミン薬を投与する。
アナフィラキシーショックには、症状出現後できるだけ早期にエピネフリンの筋注を行うことが生命予後を改善する。
その後に、必要に応じて輸液、昇圧剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド薬などを投与。気道の確保。対ショックの治療。

アナフィラキシーショックの既往者にはエピペンを処方しておく。
蕁麻疹例にセルテクト処方
6歳ピーナッツアレルギーのアナフィラキシーにボスミン注0.1~0.2cc筋注 専門施設に移送
8歳蕎麦アレルギーによるアナフィラキシーショックの既往者に体重30Kg以上 エピペン 1本
                                       15~30Kg エピペンJr 1本


食物アレルギーに類似した症状をひき起こす化学物質文献13

保存剤:亜硝酸塩、亜硫酸塩、安息香酸、ソルビン酸、
タール系色素:タートラジン、サンセットイエロー、アールレッド、ニューコクシン
香料:サリチル酸
抗酸化剤:ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン
調味料:グルタミン酸ナトリウム

魚卵の交差反応性文献14
魚卵は卵膜と卵黄から構成される。魚卵特有の卵黄蛋白であるβ´-コンポーネントが主要アレルゲンであり、魚卵間では、イクラ、トビッコ、タラコ、シシャモに交差反応性を示す。



参考文献:
1食物アレルギーの症状・原因 http://allergicpredisposition.com/
2食物アレルギー ガイドライン 食物アレルギーの診療の手引き2005 「食物アレルギーの診療の手引き」小委員会http://www.allergy.go.jp/allergy/guideline/05/index.html
3BANYU 食物アレルギー http://www.banyu.co.jp/content/patients/diet/allergy/index.html
4アレルギーの病気辞典http://www.1shibafu.net/arerugi/2006/05/post_8.html
5厚生労働省研究班による食物アレルギーの診療の手引き2005
6食物アレルギー 小児内科 Vol38 増刊号 2006
7赤ちゃんの病気&ホームケア大百科 たまひよブックス 平成16年9月
8今日の小児治療指針14版 食物アレルギー 2006.5.
9標準小児科学第4版 医学書院2000.4.
10食物アレルギーの成因、診断と治療 伊東繁 小児内科 Vol31 No3 1999-3 東京医学社
11食物アレルギー 小児内科 Vol39 No4 2007 東京医学社
12食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対応マニュアル小・中学校編http://www.iscb.net/JSPACI/download/20050414_01.pdf
13食物アレルギーの定義 河野陽一 小児内科 Vol.39 No.4 p542 2007-4 東京医学社
14アレルゲンの交差反応性 穐山浩 他 小児内科 Vol39 No4 2007-4 p558 東京医学社
15食物アレルギーの病態・症候 吉田隆實 小児内科 Vol 35 No4 2003-4 p715 東京医学社
16K M L INFORMATION http://www.kml-net.co.jp/pdf/2005-07.pdf
17SRL医療従事者向け情報 http://www.srl.info/srlinfo/news/2005-10.htm
18表示事例(アレルギー食品) http://www.pref.toyama.jp/sections/1613/anzen/09main_shoku_joho17.html
19アレルギー物質を含む食品に関する表示について(検討骨子) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/05/s0531-8b.html

学校生活管理指導表の記入  http://www.gakkohoken.jp/book/pdf/02sidou.pdf
                             http://www.gakkohoken.jp/book/pdf/03sidou.pdf
かなり重複するが、
食物アレルギー;あり、なし
  たいてい多くは即時型で、以下のごとくである。(口腔アレルギー、食物依存運動誘発は後述)
  食物摂取後から症状出現まで数秒から数分、長くても2時間。蕁麻疹。血管浮腫などの皮膚・粘膜症状。咳や喘鳴。嘔吐や下痢。
  通常は蕁麻疹があれば診断できる。呼吸器症状や消化器症状は蕁麻疹に随伴すると考えていいだろう。

  食物摂取後2時間以上、4時間以内程度の蕁麻疹出現は食物アレルギーのなかに入るのかどうかはケースバイケースか?否定か?

アナフィラキシー;あり、なし
  アナフィラキシーの明確な診断基準は無い。と、(文献により記述表現が違う)
  アナフィラキシーは食物、薬物、ハチ毒などが原因で起こる、即時型アレルギー反応のひとつの総称。
  皮膚、呼吸器、消化器など多臓器に症状が現れる。
  Gr1:蕁麻疹、血管性浮腫。口腔内掻痒感、違和感。軽度口唇腫脹。
  Gr2:上記に加え、悪心、嘔吐。鼻閉、くしゃみ。神経活動性変化。
  Gr3:上記に加え、繰り返す嘔吐。咽頭、喉頭の掻痒感、絞扼感。頻脈(+15/分)。精神不安。
  Gr4:上記に加え、下痢、枯声、犬吠様咳漱、嚥下困難、呼吸困難、喘鳴、チアノーゼ。不整脈、軽度血圧低下。軽度頭痛、死の恐怖感。
  Gr5;上記に加え、腸管機能不全。呼吸停止。重度徐脈。血圧低下、心拍停止。意識消失。

アナフィラキシーショック:全身症状として、頻脈、血圧低下、意識消失、痙攣など。
             アナフィラキシーを起こして、生命をおびやかす危険な状態になったばあい、アナフィラキシーショックと呼ぶ。

「食物アレルギーはアナフィラキシーといっていいか」という疑問をもつかたもあらわれるのでは?
アナフィラキシーは2以上の臓器にまたがるとされているので、すくなつとも、食物摂取後の蕁麻疹のみのばあいは食物アレルギーでOK
食物摂取後、蕁麻疹+口腔粘膜症状は食物アレルギーであり、かつアナフィラキシーといってもいいようだ。


A.食物アレルギー病型
 1.即時型;上記参照
 2.口腔アレルギー症候群;新鮮な果物や野菜などを摂取した直後、口腔内の違和感・痒み、鼻咽頭粘膜の違和感・痒みなどが起こる即時型アレルギー
               胃腸症状、蕁麻疹、喘息様でることもある。まれに喉頭浮腫やアナフィラキシー

               果物・野菜などの食物を食べる→15分以内に症状が出る(角田氏講演)
 
         通常の食物アレルギーはアレルゲン感作が経腸管
         OASは経気道あるいは経皮膚感作

      ある花粉アレルゲンに対して、経気道感作が成立したあと、交差反応(共通抗原性あるいはアミノ酸配列の類似性など)を示す果物や野菜を摂取することで、即時型アレルギー反応を起こす。

                           <角田氏講演より>
      シラカンバ、オオヤシャブシ、コナラ;リンゴ、モモ、サクランボ、アーモンド、ナシ、イツゴ、スモモなどバラ科果実

             <以下は小児内科Vol.39No4相原>
      スギ、ヒノキ;トマト
      ブタクサ;メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ、ウリ
      ヨモギ;リンゴ、ピーナッツ、ニンジン、セロリ、メロン、キウイ
      カモガヤ、マグサ、オオアワガエリ;トマト、ジャガイモ、メロン、スイカ、オレンジ、バナナ、セロリ、ラテックス(その他)
                       

   ☆ラテックス・フルーツ症候群;アボガド、バナナ、クリ、キウイ、クルミ、トマト、パパイヤ、グレープフルーツ、ジャガイモ、メロン、イチジク、ピーナッツ(角田氏講演から)

 3.食物依存性運動誘発アナフィラキシー;食物摂取単独、あるいは運動単独では起こらない。(食後の入浴や飲酒の報告例あり)
       原因食物;小麦、甲殻類。近年、果物や野菜などが増加傾向。

       非ステロイド性抗炎症薬が関与する例あり。

       多くは食後2時間未満の運動で、開始後1時間未満で発症する。

       原因食物が特定できたばあいは、運動制限不要。

       アレルギーのある食品を食べたあとに運動をすることで起こる(角田氏講演)
B.アナフィラキシー病型;アナフィラキシー既往ありのとき記入
 1.食物(原因食物;
 2.食物依存性運動誘発アナフィラキシー;上記参照
 3.運動誘発アナフィラキシー;運動をすることで起こるアナフィラキシー(角田氏講演から)
   アナフィラキシーの症状
    じんましん、最初に顔面蒼白、全身の紅斑・紅潮(赤くなる)
    全身の浮腫(むくみ)
    吐き気、嘔吐、下痢・腹痛、血便
    咳、喘息、喉頭(のど)の浮腫(むくみ)、呼吸困難
    胸痛、動悸、不整脈
    めまい、頭痛、血圧低下
    意識喪失、意識混濁、けいれんなど
 4.昆虫;ハチ
 5.医薬品;
 6.その他;ハムスター噛傷

C.原因食物・診断根拠
該当する食品番号を○で囲む。診断根拠①は症状既往、②は負荷試験陽性、③はIgE抗体の証明

D.緊急時に備えた処方薬あれば○で囲む

学校生活上の留意点
A.給食
B.食物・食材を扱う授業・活動
C.運動(体育・部活)
D.宿泊を伴う校外活動
E.その他の配慮・管理事項

『アナフィラキシーとアレルギー』かくたこども&アレルギークリニック院長 角田和彦先生講演。平成21年3月7日 

      キッズ健康トラブルへ

                      

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