あかちゃんの意識障害2006.2.


乳児の意識レベル点数評価法(参考文献;坂本吉正 小児神経診断学 1978)

III 刺激をしても覚醒しない状態 〜刺激でも目は開かない(わたしの追記)
300 痛み刺激にまったく反応しない
200 痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
100 痛み刺激に対して、はらいのけるような動作をする

II 刺激をすると覚醒する状態(刺激をやめると眠り込む) 〜刺激で目が開く(わたしの追記)
30 呼びかけを繰返すと、辛うじて開眼する
20 呼びかけると開眼して目を向ける
10 飲み物をみせると飲もうとする。あるいは乳首をみせれば欲しがって吸う

I 刺激しないでも覚醒している状態 〜眠っていないを前提に刺激無しで目は開いている(わたしの追記)
3 母親と視線が合わない
2 あやしても笑わないが、視線は合う
1 あやすと笑う。ただし不十分で声を出して笑わない
     (坂本吉正:小児神経診断学 金原出版 1978)
0 正常

             <以下は小児科当直医マニュアルからの抜粋改変したものです>

T 救急処置
心拍・脈拍、呼吸数・呼吸状態、体温、血圧

A:気道確保
B:呼吸確保
C:心循環確保
D:輸液静脈路確保

酸素テント収容、心電図モニター、パルスオキシメーター装着
呼吸状態、血液ガス分析結果により、エアウエイ挿入、気管内挿管 呼吸管理

控えめな輸液、電解質補正、アシドーシス補正

体温管理
胃チューブ
導尿、留置カテ


U 意識レベル、脳圧亢進、神経学所見
 A.意識レベル
   上記参照

 B.脳圧亢進の治療開始
   大泉門膨隆、うっ血乳頭、後弓反張、除皮質肢位、除脳肢位、CT検査

 C.神経学的異常
   眼球偏位、片麻痺、瞳孔不同、CT,MRI検査緊急

V 原因
 A.家族からの情報
   服薬、毒物
   外傷の可能性
   痙攣の有無、治療中の病気、同様エピソードなかったかなど

 B.身体所見
   外傷、発疹、呼気臭など

 C.検査
   血糖、アンモニア、生化学一般、末梢血、検尿
   血液ガス分析
   場合によってはリコール検査(要注意)
   脳波

W 治療
 A.脳浮腫のコントロール
   頭部を高めに
   輸液控えめ 40〜60ml/kg/day
   10%グリセオール 0.5-1g/kg/回 5-10ml/kg/回 2−4回/day
   20%マンニトール注射液
   ダイアモックス
   呼吸管理 PaO2>150mmHg  PaCO2 25−30mmHg

 B.抗ウイルス薬
   ヘルペス脳炎;ゾビラックス
   インフルエンザA脳症;シンメトリル

 C.抗痙攣薬

 D.基礎疾患の治療
   糖尿病性昏睡
   低血糖症
   肝性昏睡
   先天代謝異常
   
 E.軽度脳低温療法
   インフルエンザ脳炎・脳症など

 F.意識障害治療薬
   ニコリン
   ヒルトニン

X 鑑別診断
 A.中毒
   薬物

 B.頭部外傷 脳外科へ
   虐待

 C.代謝性昏睡
   
 D.痙攣後昏睡

 E.脳炎・髄膜炎
   インフルエンザは迅速診断キット

 F.急性脳症
   Reye症候群 など

 G.ミトコンドリア異常症
   乳酸、ピルビン酸  MRI

 H.頭蓋内出血

 I.消化不良性中毒症 疫痢

 J.循環系ショック
   血圧低下
   発作性頻拍


参考文献
小児科当直医マニュアル、神奈川こども医療センター 小児内科 編、診断と治療社

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