あかちゃんの嘔吐2006.2.

新生児に嘔吐を来たす主な疾患
 1.初期嘔吐、特発性嘔吐
 2.過食、空気嚥下、ゲップの不足
 
 3.消化管閉鎖、狭窄;先天性食道閉鎖、腸閉鎖、腸回転異常、ヒルシュスプルング病など
   種々の消化管疾患
   未熟児の壊死性腸炎
 4.血管輪
 5.感染症;敗血症、髄膜炎
 6.脳神経疾患;頭蓋内出血、脳浮腫(胎児仮死、新生児仮死)、水頭症、核黄疸など
 7.先天性副腎過形成
 8.先天代謝異常
 生後7日以内の早期新生児期にみられる嘔吐には上記の種々疾患があるが、そのなかでも、もっとも頻度の高いのは、生理的嘔吐ともいえる、初期嘔吐(特発性嘔吐)である。ミルクの飲みすぎや、空気嚥下、ゲップの不足が原因の嘔吐も多い。それら以外の疾患については、小児科医による、診断、治療が必要である。
新生児の嘔吐は、そのほとんどが健康新生児でも見られるもので、外科的疾患、中枢神経疾患、感染症などに起因するのは数少ない。

乳児の嘔吐
機能的嘔吐は、空気嚥下やゲップ不足、哺乳の拙劣、哺乳量の過多、離乳食の尚早、啼
   一ヶ月ころの限定疾患〜肥厚性幽門狭窄症(噴水状吐乳が特徴)
 1.急性胃腸炎(ウイルス性、細菌性)
   ロタウイルス感染
   ノロウイルス感染
 2.かぜや、急性気管支炎に伴なうばあい
 3.腸重積症
 4.その他の消化管疾患;腸回転異常、軸念など
 5.食物アレルギー
 6.髄膜炎、他脳疾患;頭部外傷、頭蓋内出血、脳炎、脳症、ライ症候群
 7.虐待;頭部外傷、頭蓋内出血
 8.尿路感染症
 9.心疾患;発作性頻拍、急性心筋炎
 10.先天性副腎過形成
 11.中毒;食中毒、薬物中毒etc
 12.その他疾患;そけいヘルニアの嵌頓
 肥厚性幽門狭窄症は生後1ヶ月頃に発症する疾患である。硫酸アトロピンによる内科治療に奏効しない例は、外科手術を受けることになるが、最近は硫酸アトロピン療法の進歩により、手術しなくてよいケースがふえている。

吐いたあと、元気で機嫌が良ければ、まず心配ありません。何度も吐くときは、小児科受診しましょう。発熱したり、下痢したり、痛そうに泣いたり、ぐったりしていたり、他の症状が随伴しているときも、受診を。

<吐いたときのケア>
1.顔や体を横に向かせます。仰向けのままでは、吐いたものがのどにつまったり、気管に誤嚥する危険があります。
2.口の中に残っているものがあったら、そっと指で取り除きます。
3.そっと抱き上げ、安心させてあげましょう。
4.かおや、口のまわりにはいたものがついていたら、ふき取ってあげます。汚れた衣類は吐き気がおさまったら、着替えさせてあげましょう。
5.吐き気がおさまっていたら、湯冷まし、麦茶、赤ちゃん用イオン飲料などを与えてみます。少しずつ、様子を見ながら。
6.吐いたあと、1〜2時間後に母乳や、少量のミルクを与えてみます。
7.繰り返す嘔吐や、他の症状を随伴するときは、小児科受診を。



 

嘔吐に随伴する症状から考えられる病名
 嘔吐に下痢しているとき;かぜや急性胃腸炎
 せきで吐く;かぜや気管支炎
 嘔吐、下痢に血便;細菌性、ウイルス性腸炎
 嘔吐、陣痛のような波のあるはげしい腹痛(不機嫌、啼泣、顔色不良、蒼白)、粘血便;腸重積 
 嘔吐、陣痛のような波のあるはげしい腹痛(不機嫌、啼泣、顔色不良、蒼白);そけいヘルニアの嵌頓
 嘔吐、意識障害、発熱(けいれん);中枢神経疾患(急性脳症、ライ症候群、急性脳炎、脳脊髄膜炎)
 頑固な嘔吐、意識障害の急速進行、発熱(けいれん);ライ症候群
 嘔吐、(意識障害);中枢神経疾患(頭蓋内出血)
 
 
 



参考文献
小児内科 Vol.18 No.11 1986,下痢・嘔吐・便秘、東京医学社
小児内科 Vol.35,No7 2003.嘔吐、下痢、脱水ー症例から学ぶ、東京医学社 
小児内科 Vol25 臨時増刊号 1993、嘔吐 主訴からみた外来診療
Bed-Side Memo(小児科) 小林登 監修
ひよこクラブ 赤ちゃんの病気&ホームケア 大百科、たまひよ大百科シリーズ                                     
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