百日咳 (五類定点把握疾患) 2012.11.18.
罹患状況
NIID国立感染症研究所の百日咳データベースによると、2008年5月8日〜2012年10月20日までの約4年半の報告百日咳症例数は1,229例http://www.nih.go.jp/niid/images/epi/pertu_db/s-121031.pdf
2012年百日咳 都道府県別報告数 第44週(10.29〜11.04)累計(2012.01.02〜'12.11.04)は3,600人http://www.geocities.jp/chgham/html/Hyakuzeki_KUNIbetu.htmlであるという。
IDSC国立感染症研究所感染症情報センターhttp://idsc.nih.go.jp/idwr/douko/2010d/24douko.htmlよりコピペタ
IDSC国立感染症研究所感染症情報センターhttp://idsc.nih.go.jp/idwr/douko/2010d/24douko.htmlよりコピペタ
これをみると、20歳以上の割合が増加傾向、0歳の割合が減少傾向にある。
原因
グラム陰性小桿菌 百日咳菌により、長期(約100日)咳あり。
臨床症状
潜伏期 6〜20日
(1)カタル期(菌が気道上皮細胞の線毛に接着し感染・FHA) 1〜2週間:風邪症状(くしゃみ、鼻汁、咳、軽度の発熱→症状しだいに増強
(2)痙咳期(菌が増殖し、PT毒素など産生) 4〜6週間:staccatoスタカット,whoop,repriseレプリーゼ 乳児早期 無呼吸発作
(3)回復期(菌が消失し症状軽減) 2〜3週間:
なお、ワクチン接種者は慢性咳漱が主症状であるという。
また、胎盤から移行した母体抗PT-IgG抗体、抗FHA-IgG抗体は生後2カ月で測定感度以下になるという。
検査
赤沈亢進無し CRP陽転無し
痙咳期 リンパ球数増多
鼻咽頭からの百日咳菌の同定
抗体価測定(山口株、東浜株、PT、FHA)
予防接種
1期初回は生後3月から開始。 20日〜56日の間隔で、3回
1期追加は上記終了後、6月以上の間隔をおいて、 1回
診断 菌培養はあまり行われていない
1)ワクチン未接種者:白血球数15,000〜数万/μl リンパ球75%以上、 CRP低値
凝集抗原 ペア血清で4倍以上上昇、あるいは山口株40倍以上
2)ワクチン接種者:抗PT-IgG抗体100EU/ml以上
山口株320倍をもって急性感染としている(成人領域では1280倍以上)
感染初期 抗PT-IgG抗体>抗FHA-IgG抗体
ワクチン接種後3年以降は 抗FHA-IgG抗体>抗PT-IgG抗体
抗菌薬など
抗菌薬はカタル期に投与開始すれば症状の軽減につながる
再排菌防止に、マクロライド系は一般に2週間(ただしクラリスロマイシンでは7日間、アジスロマイシンでは3〜5日間の記載もある)
以下文献6を参考に。
処方例 下記を併用する
クラリス 10mg/kg/日 14日間
メイアクト10mg/kg/日 14日間
対症療法 ベタメタゾン0.075mg/Kg経口、ハイドロコーチゾンサクシネート30mg/Kg筋注、サルブタモール0.5mg/Kgなどの報告あり。
静注用ヒト免疫グロブリン300mg/Kgj静注 3日間 抗PT抗体richなγ-glは理論上有効 重症例に考慮
参考文献
1百日咳、パラ百日咳 小太刀康夫、小児内科 40 増刊号 2008 東京医学社
2標準小児科学 第2版、第4版 医学書院
3日本医事新報 No4396(2008.7.26)
4百日咳抗体価の解釈を教えて下さい http://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/48.html
5百日咳 内藤洋子 小児内科 Vol.38 増刊号 2006
6今日の小児治療指針第13版 百日咳、パラ百日咳 加藤達夫 2003 医学書院 キッズ健康トラブルへ