臍肉芽腫 2005.8.5〜2006.1.27〜2010.1.5.
臍の緒がとれたあと、おへそがじくじくと湿潤してなおらないとき、臍肉芽腫ができていないか注意してみてみましょう。たいてい、一ヶ月検診前に気付いて小児科など受診することになります。
ごく最近の例から提示
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第1回目の受診(0日目) 2009年12月 生後16日 主訴:へその緒がとれない(上の部分はとれたが、残りがある) 外観 |
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指で開いてみる |
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側面から見る 臍帯遺残様にみえる 硝酸銀焼灼する。 水を垂らしてガーゼで残った硝酸銀を吸い取る。 極力皮膚に残らないようきれいに。 リンデロンVG塗布 消毒液を処方し、1週後再受診予定とした。 (臍部培養はSt.pyo + S.aureus数個 検出された) |
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第2回目の受診(7日後) 2010.1再受診 1週間後 (生後23日) 皮膚に絆創膏カブレと皮疹の散在あり。 |
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翌日すでに取れ始めたとのことで、ピンセットで開いてみると基部に小さい臍肉芽腫が残っている。 |
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同様に2回目の硝酸銀焼灼 水で残った硝酸銀を拭き取る ガーゼをあてるのみとした。 |
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第3回目の受診(さらに5日後) 基部に粟粒ほどの肉芽の残存らしきあり。 |
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ヒビテンで拭いてみたらとれた。 |
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粟粒よりも小さい |
過去の例
2005年 2.7 初日 生後12日 おへそから出血するとのことでしたが、 大きな臍肉芽腫がみられました。 |
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2.7 初日 ねもとも太いので糸で結ぶことにしました。 |
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2.7 初日 イソジン消毒して、ねもとを糸で結びました。 |
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2.7 初日 硝酸銀液を付けました。 |
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2.8 第2日 |
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2.8 第2日 再度糸でしばって、硝酸銀液をつけます。 |
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2.9 第3日 だいぶ小さくなりました。 今日も硝酸銀液をつけます。 |
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2.10 第4日 肉芽腫はとれました。 |
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2.10 第4日 基部にすこし残存ありそうなので、念のため 硝酸銀処置をしました。 |
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2.12 第6日 肉芽腫は消失 皮膚表面は一部びらんと出血あり |
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3.1 一ヶ月検診 |
臍肉芽腫の原因と治療
臍帯脱落後、軽微な慢性炎症が持続すると小さな肉芽組織の増生をきたす。これを臍肉芽腫と称すると解説されています。
あるいは臍帯自然脱落後、慢性の感染および刺激によって、反応性の肉芽腫が形成されることがあると説明されています。
臍の緒がとれたあと、ブドウ球菌などの細菌感染により、臍炎をおこすと、肉芽腫をつくることがあるとも解説されています。
大きさはさまざまで、ときどき表面から出血します。通常の処置は硝酸銀液塗布。大きな肉芽腫は切除。
発生の大きな原因はおむつが上へずり上がっていて、尿が常に臍部に及んでいることもあり、その方面の指導も大切と。
臍部を完全に露出させたおむつが望まれると。
臍部の鑑別すべき疾患
臍ヘルニア
臍腸管瘻
臍尿瘻
参考文献:新小児医学大系、31B,小児一般外科学U、中山書店、1984.12.25
標準小児科学、第4版、医学書院、、2001.6.1
写真でみる新生児の観察と取り扱い、p126、島田信宏著、南山堂、1971
2008.6.追記
生後二ヶ月過ぎに受診したケース
へその緒が取れたあと、じゅくじゅくして乾かないとの訴えで4/2受診
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4/2 ピンセットで臍部を展開してみるとピンク色でちいさな臍肉芽腫ができているのが確認された。 |
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4/2 硝酸銀液をつける 肉芽腫の表面が白く腐蝕 |
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4/2 臍部6時の位置にあるのが臍肉芽腫 |
4/4 2日後 |
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4/4 硝酸銀を再度 |
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4/6 さらに2日後 ガーゼ上の黒い粒がとれた肉芽腫 臍周辺の皮膚は硝酸銀で茶褐色に |
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4/12 10日目 茶褐色の皮膚変化がまだあり 肉芽腫につける硝酸銀液は皮膚にできるだけつかないようにし、処置後の硝酸銀液はできるだけ洗い流すが皮膚面の少々の着色は一時的なもので、皮膚表面が新しい皮膚に新陳代謝されると消えると説明している。 |
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4/16 14日目 |
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5/14 あとかたも消えている。 |
2008.8追記
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2008.3. 生後34日目 おへそがじくじくすると3月末に受診したが、臍肉芽腫みられる。 硝酸銀液で処置 翌日は少し表面が白っぽく少し縮小 翌翌日にはglanulomaとれた。 |