反抗挑戦性障害、行為障害2008.7.
ODD(Oppositional Defiant Disorder),CD(Conduct Disorder)



定義・概念(文献1から)
CDは「通常18歳以前より認められる持続的な社会規範を侵す行動様式」
ODDは「通常18歳以前より認められる権威者への持続的な拒否的、反抗的、挑戦的、敵対的な行動様式」


病態生理(文献1から部分抜粋、改変)
幼児期、学童期にADHDと診断された児童の一部が十分な援助をえられないと成長とともに「反抗性」を問題の中心としたODDへと移行し、そのODDの子どもがさらに援助を得られないと「反社会性」を中心問題としたCDへと移行し、それでも進行を止められなかった者が最終的には反社会性パーソナリテイ障害に至るという考えがある。
ただしODDのなかにはADHDを伴わない場合もあり、ADHDの過半数はODDにはならず、CDに発展する率はさらい低い。


反抗挑戦性障害DSM−W−TRの診断基準(文献2より)

A.少なくとも6ヶ月持続する拒絶的、反抗的、挑戦的な行動様式で、以下のうち4つ(またはそれ以上)が存在する。
(1) しばしばかんしゃくを起こす。
(2) しばしば大人と口論をする
(3) しばしば大人の要求、または規則に従うことに積極的に反抗または拒否する。
(4) しばしば故意に他人をいらだたせる。
(5) しばしば自分の失敗、不作法を他人のせいにする
(6) しばしば神経過敏または他人からイライラさせられやすい。
(7) しばしば怒り、腹を立てる。
(8) しばしば意地悪で執念深い。
注:その問題行動が、その対象年齢および発達水準の人に普通認められるよりも頻繁に起こる場合にのみ、基準が満たされたとみなすこと。

B.その行動上の障害は、社会的、学業的、または職業的機能に臨床的に著しい障害を引き起こしている。

C.その行動上の障害は、精神病性障害または気分障害の経過中にのみ起こるものではない。

D.行為障害の基準を満たさず、またその者が18歳以上の場合、反社会性パーソナリティ障害の基準は満たさない。


ADHDにODDの合併がみられる場合の治療(文献2による)

@親子関係の修復(ペアレントトレーニング)
A育児支援
BADHDに対する薬物治療
C地域ネットワークにおける、親の会などの社会的資源の活用(医療だけでなく、福祉・教育分野など多系統にわたるネットワークが必要)  

  治療が難しいとされる行為障害への進展を予防するためにも、反抗挑戦性障害の状態で治療開始が望まれる。


DSM−Wによる行為障害の診断基準(文献3より)

A.他者の基本的人権、または、年齢相応の主要な社会規範または規則を侵害することが反復し持続する行動様式で、以下の基準の3つ(またはそれ以上)が過去12カ月の間に存在し、基準の少なくとも1つは過去6ヶ月の間に存在したことが明らかである。

[人や動物に対する攻撃性]

1.しばしば他人をいじめ、脅迫し、威嚇する。
2.しばしば取っ組み合いの喧嘩をはじめる。
3.他人に重大な身体的危害を与えるような武器を使用したことがある。(例えば、バット、煉瓦、割れたビン、ナイフ、銃)
4.人に対して身体的に残酷であったことがある。
5.動物に対して身体的に残酷であったことがある。
6.被害者に面と向かって行う盗みをしたことがあ。(例えば、背後から襲う強盗、ひったくり、強奪、武器を使っての強盗)
7.性行為を強制したことがある。

[所有物の破壊]

8.重大な損害を与えるために故意に放火したことがある。
9.故意に他人の所有物を破壊したことがある。(放火による以外で)

[嘘をつくことや窃盗]

10.他人の住居、建造物または車に進入したことがある。
11.物や好意を得たり、または義務をのがれるために、しばしば嘘をつく。(即ち、他人をだます)
12.被害者と面と向かうことなく、多少価値のある物品を盗んだことがある。(例えば、万引き。但し、破壊や侵入のないもの、偽造)

[重大な規則違反]

13.13歳未満ではじまり、親の禁止にもかかわらず、しばしば夜遅く外出する。
14.親または親代わりの人の家に住み、一晩中、家を空けたことが少なくとも2回あった。(または、長期にわたって家に帰らないことが1回あった)
15.13歳未満からはじまり、しばしば学校を怠ける。

B.この行動の障害が社会的、学業的、または職業的機能に臨床的に著しい障害を引き起こしている。

C.患者が18歳以上の場合、反社会的人格障害の基準をみたさない。



参考文献
1反抗挑戦性障害、行為障害 小平雅基 金生由紀子 小児内科 Vol.38 増刊号 2006 東京医学社
2軽度発達障害フォーラムhttp://www.mdd-forum.net/niji04.html
3DSM-Wによる行為障害と反抗挑戦性障害の診断基準:発達過程における反社会性の問題http://charm.at.webry.info/200612/article_12.html


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