かん黙2008.7.
かん黙
緘黙
心因性緘黙
場面緘黙
選択的緘黙症
選択性緘黙症
選択緘黙
部分緘黙
以下は参考文献1のweb pageをコピペタしたものです
家族や親しい友人とは何の問題もなく話しているのに,学校などの特定の場面では,ひと言も話すことができない状態を緘黙といいます。言語能力(発語・理解)はほぼ正常であるにもかかわらず,学校などの特定の場面や状況で話さなくなることから,場面緘黙症または選択性緘黙症といわれています。生活場面すべてにわたって話すことができない状態を全緘黙といいます。
情緒障害教育では,選択性緘黙等があるものが対象とされています。
登下校中は親しい友人とおしゃべりをしていても,校門に入った途端に黙ってしまったり,家族とは楽しそうに会話していても,家族以外の人が入ってくると口をつぐんでしまったりすることもよく見られます。行動も抑止的で,極度の緊張から身体が硬直してしまいがちです。重症の例では,行動や動作も止まってしまう場合があります。
米国の精神医学会の診断基準である「DSM−W精神疾患の分類と診断の手引き」では,選択性緘黙について次のように記載されています。
幼児期に最初に出現することがきわめて多く,幼稚園や保育園,小学校に入園,入学した時にまわりが気づきます。幼少期は特に女子に多く見られます。中学校まで続くとそのまま成人まで改善しにくいようです。
まったく声を出さない状態から小さな声では話す,首を振ることで意思表示をする,特定の限られた人となら話す等,状態や程度は様々です。一般的には以下のような特徴が多く見られます。
話さないことだけに注目してしまうと,話させようという働きかけが多くなります。そうした働きかけが極度の緊張と萎縮を生じさせ,対人恐怖やひきこもり等の二次的な不適応を引き起こします。わざと話さないのではなく,話そうとしても話せないという視点に立ち,緊張や不安,恐怖心を取り除くように関わることが大切です。
緘黙の状態は成長と共に改善する例も多く見られます。大切なのは社会的な場面での活動能力です。話ができなくても取り組みやすい課題や場面設定等,安心できる雰囲気作りを心がけます。必要に応じて専門機関も利用しますが,日常生活に般化していく場合には,家庭・学校との協働は不可欠です。
大井の分類(文献2から)
臨床的には大井の分類がよく用いられる。すなわち、
非言語的なコミュニケーションを求めようとするタイプ(T型)
積極的にコミュニケーションを取ろうとはしないが、拒否的な態度はみられないタイプ(U型)
家族以外とのコミュニケーションをまったく拒否するタイプ(V型)
U型とV型は言語発達遅滞を伴うことが多いとされ、軽度発達障害に付随する兆候の場合もある。
軽症の選択的緘黙症は家族要因が強く
重度のタイプ(V型)は本人の素因が強くかかわっているようである
治療目標ーその手順(文献2より)
治療目標を緘黙そのものにおいてはいけない
発語を促すのではなく
対人緊張や不安を軽減することを目標にし
非言語的コミュニケーションを図る
あらかじめ児童の性格を把握しておく
家族への指導
家族内の不和・緊張関係を緩和する
家族間のコミュニケーションがうち解けた雰囲気でなされること
父親と母親の関係を改善すること
治療には長い時間を要することの理解
治療法
遊戯療法:遊びをとおして対人コミュニケーションを図ることにより、言語を用いなくとも対人関係を保てることを実感させる
行動療法
家族療法
環境調整療法
入院治療
児童精神科の専門医、担任教師との連携が大切
文献3によると
選択性緘黙の頻度は0.03〜0.08%
女子が若干多いとされる
周生期障害12%に認められる
始語も有意に遅い
約半数は言葉が未熟で話すのが苦手
知能指数;生常児群、言語遅滞群の平均が101 選択的緘黙ではIQ=85
沈黙がち
内気
言語的コミュニケーションの際には不活発
約半数は家ではむしろ攻撃的
知らない人にはむしろぶっきらぼう
緘黙の始まりは80%以上が幼少期の内気から徐々に発展してきたもの
あとは後年になって急激に発症
契機の例;担任が大きな声で話せるようにと、壇上で号令をかけさせてうまく声がでなかった
選択的緘黙は経過が長い
観察期間が3年から7年の報告がある
遊戯療法については
遊戯場面をプレールーム内限定せず、公園、町、レストラン、デパートなどに子どもを伴って、そこで治療的な働きかけを試みることが大切
予後は大部分良好だが、長期観察で殆んど改善のみられないケースもあるという
心因性の緘黙は元来、言語活動が不活発な子どもが情緒的に傷ついた際に起こることが多く、家族が緘黙に気付いたことで口をきくことへの圧力が高まり、家庭内でも口をきかなくなってしまう場合も少なくない。
できるだけ緊張の少ない、イエスと答えればすむような質問をすることから、少しずつ口をきく場を広げていく心がけが大切。
その他
高機能自閉症と診断された学校での選択緘黙例(文献4)
緘黙には全緘黙症と選択緘黙症がある(文献5)
聴覚障害や脳炎などの脳の器質的疾患による失語症、精神分裂病(註;そのまま記載)・うつ病などの精神病になる緘黙は除外される。(文献5)
家庭環境がおおきな比率をしめるケースについて(文献5)
参考文献
1 障害のある子どもの教育について学ぶ>情緒障害教育>緘黙について 笹森洋樹 独立行政法人国立特別支援教育綜合研究所 http://www.nise.go.jp/portal/elearn/jyoucyo-kanmoku.html
2発達性言語障害、構音障害、選択性緘黙症 稲垣真澄 小児内科 Vol.35 増刊号 2003
3言語障害(吃音、速話症、心因性緘黙) 中根晃 山田佐登留 小児内科 Vol.23 臨時増刊号 1991
4小児科医が知っておきたい精神障害 序論 桃井真里子 小児内科 Vol32 No9 2000 東京医学社
5緘黙 星野仁彦 小児内科 小児科医が知っておきたい精神障害 Vol32 No9 2000 東京医学社
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