Rett症候群2008.7. 2014.11追記DSM,ICD対比表
Rett症候群(RTT)は乳児期の筋緊張低下、自閉傾向、重度の精神停滞、特有な手の常同行動、頭囲拡大の停滞などが年齢依存的に出現し、過呼吸、無呼吸の特有な呼吸異常、便秘、冷たく小さい足などの自律神経系の異常などを伴う発達障害である(文献1)
遺伝形式と発生頻度(文献2から)
性染色体優勢遺伝疾患でゆっくり進行していく。女児のみに発症するとされている。発生頻度は1人/1万人といわれている。
文献3では女児出生率一万から一万五千人に一人の発生率といわれ、生後六ヶ月から一年六ヶ月の頃に発症。
http://www.rett.gr.jp/rett_HP/bunpu.htm:都道府県別、年齢別推定患者数
(文献4からコピペタ)
(The Rett Syndrom Diagnostic Criteria Work Group,1988)
1.必須項目
1)明らかに正常な胎生期および周生期
2)生後6カ月までは明らかに正常な精神運動発達
3)出生時頭囲は正常
4)頭囲の発育が生後5カ月〜4歳の問に遅くなる
5)生後6〜30か月のの間に、獲得されていた手の合目的的な巧緻性が失われ、
コミュニケーション障害や社会的な引き辺りを伴う
6)表出言語や受容言語の著しい障害と、重篤な精神運動発達遅滞
7)合目的的な手の巧緻性が消失した後、手のねじれ一手絞り、手叩き一指打ち、
口動かし、手洗い−手こすりのようなマンネリズムな常同的手連動の出現
8)1歳〜4歳の間に、歩行失調、躯幹の失行・失調の出現
9)2歳〜5歳までは暫定診断である
2.補助項目
1)呼吸障害 a)覚醒時の間欠的無呼吸
b)断続的過呼吸。
c)息止め発作
d)空気や唾液を無理にはき出す
2)脳波異常 a)背景脳波の除波化(3−5Hz)
b)てんかん波の出現(臨床的に発作があってもなくても)
3)けいれん発作
4)筋肉の萎縮やジストニアをしばしば伴った痙性筋緊張亢進
5)末梢の血管運動障害
6)側湾
7)成長障害
8)発育障害の小さな足
3.除外項目
1)子宮内成長障害の痕跡
2)臓器肥大などの蓄積病の症状
3)網膜障害あるいは視神経萎縮
4)生下時における小頭症
5)周生期後天性脳障害の痕跡
6)既知の代謝性疾患や進行性の神経疾患の存在
7)重度の感染症や頭部外傷などによる後天的な神経障害
発症機序と遺伝子診断 (文献5)
MeCP2遺伝子の変異に起因する.
遺伝子診断法
塩基配列決定法によるMeCP2遺伝子の変異解析.70-80%に変異が同定される.
1990年11月4日 レット症候群シンポジウムにて
http://www.rett.gr.jp/rett_HP/dr_rett/dr_rett.htmからの部分抜粋(全文をお読みください)
根本治療がないとはいえ、レット症児のために出来る療法はたくさんあります。そしてこれらは、家族の協力があって初めて良い結果が得られるということを、先ず言っておきたいと思います。また、理学療法、音楽療法、作業療法などの分野で優れた専門家がたくさんいます。そして、子供の反応をじょうずに引き出すのは、これれらの療法士の優れた資質に依存しているということです。訓練では、子供と訓練者との意思疎通が何より大切です。問題は、訓練の方法ではなくて、子供といかにコンタクトを取るかということです。
子供の気持を掴むことが出来れば、訓練者の意図を達成する事も出来るのです。私はこの事を、多くの実例から学びました。この方法は、特別な訓練法を知らなくても出来ます。いろいろな訓練法の中から目的に合わせて訓練法を選ぶことが必要なのです。今までお話したことの全ての根底にある言葉は何かと言いますと、それは愛です。あなたが子供を愛していればこそ、一生懸命に子供のために頑張るでしょうし、どんな療法も効果が上がるのです。
訓練に関して付け加えたいことは、歩行の問題です。レット症児にとって自ら歩いて移動できるということは、極めて重要なことです。そして、もしお子さんが歩けるのであれば、その機能を失わないように最大の努力をしなければなりません。側弯を防ぐためにも、歩行は大切な事だと考えています。側弯は、これを防ぐために全力をあげなければなりません。
参考文献
1Rett症候群 松石豊次郎 小児内科 Vol35 増刊号 2003
2Rett症候群 http://www.onitaiji.com/spine/disease/dis10.html
3Rett症候群 日本レット症候群協会 http://www.rett.gr.jp/index.htm
4Rett症候群の臨床的診断基準 http://www.rett.gr.jp/rett_HP/iryou/sindan.htm
5Rett症候群 遺伝子診断 http://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r2/genedigmanu_html/RTT.html
2014.11.追記
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2014.11追記
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